引き裂かれた家族


テレビがないから、どれだけ騒がれてるかわからないんだけど、
拉致被害者の家族が5人帰ってきたらしい。
子供たちは、日本が母国だと確信できるのだろうか。


高校に相当する年代、私はある共同体で暮らしていた。
そこでは、その共同体以外の社会は、暗黒社会だ、と教えられていた。
その共同体で3年暮らしたのち、結局地元に帰る決断をした。
そのときは、悲壮な決断だった。
「この地でできた仲間以上の人には会えないし、体験はできない」、
「もう、独りで生きていかなければならない」


でもそれは、その共同体の観念にはまっていただけだった。
帰ってきて、私は心を打ち明けられる仲間に、また出会えた。
もっといい仲間に会えたし、かけがえのない体験ができた。


北朝鮮から帰ってきた子供たちは、どちらで暮らすのが幸せか、
簡単には決められないと思う。
夢物語だ、といわれると思うけど、いつの日か韓国と北朝鮮が統一されて、
韓国と同様に自由に行き来ができる日が来てほしい。
そのとき、初めて自分の生きていきたい場所を選択できるのだと思う。


日本と朝鮮(韓国と北朝鮮の総称として、この語を使う)には、
消したくても消せない出来事がたくさんある。


韓国に行ったとき、街中で私を見た瞬間、
突然怒鳴りだすおばあさんに出会ったりした。
昔の話をずーっとする韓国の若者にも出会った。


でも、道がわからないとき、バスの運転手は親切に説明してくれ、
対向車線を走っているバスをわざわざ止めて、
私たちを乗り換えさせてくれた。


消せない出来事は、消せないんだから、修正もできない。
良くも悪くも、それをみるしかない。
どちらの歴史観が正しい、とかそういう問題じゃない。


いつか腹を割って協力し合える関係になりたい。
現実的ではない、と思われるだろうけど、
そのために身体をはりたい。