「勇魚」 C.W.ニコル 著 文藝春秋 (1987)


今度、ニコルさんの講演を聞く機会があるため、たまたま書庫にあった本を手に取った。
和歌山の太地の鯨とりの漁師を主人公にした本だ。
鯨漁のことが勇壮に描かれているし、
人物も生き生きとしている。


混血の話が多くあるのは、ニコルさん自身が日本人の妻と結婚して、
子供をもうけているからかもしれない。


国と国、人と人のあり方が伝わってきた。
幕末の複雑な政治事情も、わかりやすく書いてあるし、
日本にもこんな男たちがいたんだ、と気付かせてくれる点では、
大好きな司馬遼太郎の作品にも通じるものがある。